火花面白かった

第153回芥川賞受賞作である又吉直樹『火花』を仕事帰りに読んだ。思っていたよりも薄かったので一気読み。
「東京には、全員他人の夜がある。」(文春文庫 p.79)という一文がとても良かった。たまらなく惹かれた。

人が多い渋谷のスクランブル交差点を1人で歩いている時、最寄り駅から家までの少ない街灯の中を1人で歩いている時、ふとした瞬間に私もそう思うことがある。

東京で暮らす人には経験があるんじゃないのかな。東京じゃなくてもそう思うのかな。

どうなのかな。あー、私ってちっぽけだな、ってそんな風に思うのは東京という街特有の感情なのかな。だったとしたら東京ってすごい。すごく、怖い。本当にあると思うんだよね、東京には全員他人の夜が。この文章を見た時に皆さんはどんな気持ちになりましたか?やるせない感じ?心が空っぽになった感じ?それとも清々しい感じ?その感情が、この本を読むと味わえる。ここの一文は、この小説の内容を現すのに相応しい一文だと私は思う。

天才肌の先輩芸人・神谷について、羽海野チカさんの大ヒット漫画『ハチミツとクローバー』の森田さんをなんとなく私は思い出した。天才ってどうして、天才と言われる部分以外がこんなにも不器用で愛らしいのか。そしてそこがまた他の人をイラっとさせてしまうのか。

一方で、売れない芸人の徳永は自分自身の様だった。神谷の存在に憧れて、憧れて、ただただ憧れて、どうしても”なりたい姿”のはずなのに、そうなるための覚悟も勇気もないところが本当に似ていると思った。やっぱりいつだって変化は怖い。私もそうだった。受験、就活、転職、恋愛。私が進むべき道はこっちで合っているのかなっていつだって不安だった。だった、ではなく、今だって不安だ。いつになったら神谷の様な生き方が出来るのだろうか。なりたくてもなれないからこそ”憧れ”なのだろうか。

明日も仕事なのに読了後すぐに眠りたくないな。なんとなく不快な夢を見そう。なんて、又吉さんが出てきたりしてね。

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